M.スコットペック「平気でうそをつく人たち」

平気でうそをつく人たち―虚偽と邪悪の心理学

平気でうそをつく人たち―虚偽と邪悪の心理学

[追記]2007年01月02日読了
著者が診療経験から考えた、「邪悪な人」に関する話。
邪悪な人とは
・どんな町にも住んでいる、ごく普通の人
・自分には欠点がないと思い込んでいる
・異常に意思が強い
・罪悪感や自責の念に耐えることを絶対的に拒否する
・他者をスケープゴートにして、責任を転嫁する
・対面や世間体のためには人並み以上に努力する
・他人に善人だと思われることを強く望む


邪悪な人の例
・家庭内の問題に立ち向かうことができず、強迫神経症になり、その強迫神経症から逃れるために悪魔と契約する男
・自殺した兄が使った銃を、その弟にクリスマスプレゼントとして贈る両親
・徹底的に子供の意思を尊重せず、自分自分が治療を必要としていることを認めるくらいなら、子供が不治の病を持っていると信じるほうがましだと考えている親
・妻に隷属し、自らの決定権を放棄し、妻に依存する夫。その夫を罵倒し支配することで欲求を満足させる妻
・娘を自分のコピーにして、一生支配し続けようとする母親
・自分が常に正しいと思っており、他人が考えていることをまったく認めない女
・集団の悪について、ベトナム戦争時のアメリ


人間の「邪悪さ」について書いた本。面白い定義の仕方。
定義し研究することの危険性についても述べ、また、定義することで「治療」しようとする試みは面白い。
邪悪な人に関して暫定的な理解が得られる。そして、自分が邪悪な人となっていないか考えることができる本。